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「六ケ所村再処理工場の新規制基準適合審査書案」に対し、パブリックコメントを提出しました


2020年5月13日(水)、原子力規制委員会は、青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(六ヶ所再処理工場)が、新規制基準に適合していると認める「審査書案」を了承しました。
その上で、5月14日(木)~6月12日(金)の期間において、意見公募(パブリックコメント)を行った後、「審査書」を正式決定するとしています。
生活クラブ京都エル・コープは意見公募に対し、6月12日(金)に以下のパブリックコメントを提出しました。

■ 審査書(案)には触れられていない項目ではありますが、
・再処理施設で1日に放出される放射性物質の量は、原子力発電所が1年に出す量に相当すると言われています。また、高レベル放射性廃棄物が出来るため、万が一事故を起こした場合の被害も壊滅的と思われます。環境汚染が前提での事業を許容することは出来ません。
・高レベル放射性廃棄物のガラス固化はいまだに実験炉段階であり、商業化できたとしても最終保管場所も決まっていません。誰も引き取りたくないものを作り出してしまう事業そのものに問題があると思います。
・膨大な低レベル放射性廃棄物が発生し、その保管場所もありません。
これらの点から再処理施設事業は中止するべきとの立場であり、以下「審査書(案)」の内容に関して意見を提出します。



「再処理の事業を適確に遂行するための技術的能力」について
1. 再処理施設特有の事項が考慮されていない
これまでに示されてきた発電用原子炉の審査書における「発電用原子炉」の単語を「再処理」に置き換えただけで、中身はほとんど変わっていないようです。例えば、可燃物を扱うこと、放射性物質保有量の大きさ、想定重大事故とその対策が原子炉の場合と大きく異なること、保証措置の一環として国際機関の査察を常に受けなければならないこと、2006年に実施されたアクティブテストにより機器や配管の多くが高濃度に汚染されていて作業に支障があることなど、再処理事業・本工場特有の事項が考慮されていません。
2. 日本原燃は再処理施設を運営する適正に欠けている
六ヶ所再処理工場は実液試運転ともいえる 2006-2007 年のアクティブ試験の失敗以降、多くの事故、トラブル、不手際を起こし、規制委員会から度々の指摘や改善命令を受けています。しかもいまだに完成していません。このことは事業者の技術的能力が不十分であるということを示していると思います。


「設計基準対象施設」 について
1. 臨界事故に関して、地震により引き起こされるスロッシングの影響評価とその審査が行われていないことは、安全確保上の欠陥
容器が安全な形状寸法になっていたとしても、それは液体が静止した条件のもとであり、容器内でプルトニウム溶液が動いて片寄りが生じる条件のもとでは瞬間的に臨界に達する可能性があります。このことは、1958年旧ソ連キシュテム再処理施設の事故が前例としてあります。設計基準事象である基準地震動においてスロッシングによる臨界事故が生じてはならず、その評価と審査が行われていないことは安全確保上の重大な欠陥だと思います。
2. 航空機墜落について、墜落想定の考え方に疑問がある
墜落する確率は意図的なテロでない限り、どこも同じと考えるのが一般的であると思いますが、まるで建屋付近には墜落しないかのような考えで審査基準が作られていることに疑問があります。
3. 保安電源設備についての不十分さ
発電用原子炉の場合は、非常用電源の要求に「多様性」が加わっており、更に独立した電源設備を有する「特定重大事故等対処設備」もあります。重大事故の際の被害想定で発電用原子炉を上回り、特有のリスクを多々抱える再処理施設の電源設備への要求が発電用原子炉のそれを下回ってはならないと思いますが、要求は石油や化学品など可燃物を取り扱う一般的なプラントでも常識的な基本事項のみで、再処理施設としての特別な要求がないことは不十分だと思います。


「重大事故等対処施設及び重大事故等対処に係る技術的能力」 について
1. 臨界事故の発生は想定できないとするのはリスクの過小評価
第 III 章「設計基準対象施設」の1で書いたように、スロッシングにより容器内でプルトニウム溶液の片寄りが生じて臨界事故が起きる可能性がありますので、これを考慮するべきだと思います。
2. 評価手法「希ガス及びよう素は総放出量評価においては評価対象外とする」で良いのか
規則第 28 条 3「再処理施設は、重大事故が発生した場合において、工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を防止するために必要な措置を講じたものでなければならない。」を順守するなら、長期的な影響が小さいことを理由に、希ガスとよう素を対象外とするのは間違っており、短期的及び長期的な影響を及ぼすすべての放射性核種を対象とした実効線量評価の実施を求めたいと思います。
3. 冷却機能が喪失した場合の代替冷却水系の可搬式の機器や設備は、どのような状況下においても機能するかを十分検証してほしい。
申請者は、代替安全冷却水系には、可搬型中型移送ポンプ、可搬型建屋外ホース、可搬型建屋内ホース、弁等を設置するとしており(163 頁)、これらに付け加えて、可搬型排水受槽、可搬型排風機、可搬型発電機、可搬型ダクト、可搬型フィルタ等を可搬型重大事故等対処設備として新たに整備するとしています(p.165)。下北半島は豪雪地帯で、積雪や悪天候に可搬型で対応できるのか非常に疑問です。また、地震により敷地内の道路に陥没や地割れなどが発生する可能性もあり、作業員による搬入や運搬、接続などの作業がスムーズに行われるとは考えにくいと思います。重大事故等対処設備については、可搬型だけではなく常設型を含め検討し、どのような状況下においても機能するかの十分な検証を行ってください。


「大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他テロリズムへの対応」 について
1. 重大事故等対応設備について
冷却機能喪失の場合と同様に、可搬型だけではなくその他の手段についても検討し、重大事故下において十分機能するかを検証し備えるようにしてください。
2. 故意による航空機の衝突、テロリズムへの対策は不可能
積載燃料による大火災に加え、再処理による高レベル放射性廃棄物の流出により広範囲が汚染される大惨事となる可能性があります。唯一の対策は、壊滅的な被害をもたらす可能性のある再処理事業をやめることだと思います。

以上

 

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