放射能検査結果ニュース 2016№10
2016年度の関西独自消費材の放射能検査結果をお知らせします。
2016年度 関西独自消費材の放射能検査結果
▶ 関西独自材の放射能測定結果
今月は独自材の検査はありません
【検査結果の見方】 単位:㏃/㎏ 「検出値/検出下限値」で示します。
半減期の長いセシウムに絞って検査をしています。セシウム134、セシウム137の合計値で「検出限界値」を記載します。
検出値欄のNDは、検出限界値未満での不検出を表します。
※2013年4月から生活クラブ飯能DC検査室に導入した5号機はセシウム137とセシウム134の合計値で算出することにより感度を高めています。そのため、連合会の検査ではそれぞれの数値は表示されません。
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▶ 生活クラブ連合会の放射能測定結果
1月は770検体の放射能検査を実施しました。
12月4回~1月4回(12/26~1/29)の放射能検査は770検体で、そのうち706検体(91.7%)は放射性セシウム不検出でした。検出はいずれも関西では取扱いのない消費材で、生椎茸6品目29検体、菌床生椎茸1品目1検体、舞茸3品目10検体、レンコン3品目23検体、丸干し芋1品目1検体の合計14品目64検体でした。
検査の詳細情報は、生活クラブ連合会のWEBサイトの放射能検査結果Web検索をご参照ください。
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国と生活クラブの基準値の比較表
セシウム134と137合計値、単位:Bq/kg
(1) 飲料水には、国の基準と同じ「緑茶」だけでなく、「麦茶」や「抹茶」などの茶類を含みます。
(2) 「生椎茸」を除く「きのこ類」を含みます。
(3) 検出下限値を目標としている理由は、測定する消費材の比重等により、検査結果にバラつきが生じるためです。
*生活クラブが目標とする放射能検査の「検出下限値」は、他団体とは異なり、セシウム134 と137の 合計値です。
しかも、自主基準値の1/4以下の精度です。
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2011年の東京電力福島第一原発事故で、もっとも大きな被害を受けた食品のひとつが、生椎茸やレンコンです。放射能による影響、その後の対策などについて、まとめてご紹介します。
■ 原発事故後に
生椎茸やレンコンから高い数値が出た理由
---きのこ類は元々、微量元素をたくさん吸収しやすいという性質を持った食材です。それが、滋養にあふれ栄養豊かな、きのこ類ならではおいしさにつながっています。ところが、福島第一原発事故による放射能汚染が起きると、その性質が仇となってほだ木などに吸着した放射性セシウムを集めてしまうことになりました。程度は違いますがレンコンも似た性質を持っています。そのため、生椎茸やレンコンは、事故直後には放射能検査で高い値が出ることもあったのです。(※1)
■ 地元の山を守ってきた生椎茸栽培の
営みも原発事故が破壊
生椎茸に関して言うと、放射能汚染は、生椎茸そのものだけではなく、椎茸を栽培するためのほだ木にも及びました。実は、原発事故前までは、福島県は日本国内のほだ木の一大産地として知られる県でした。国内の生椎茸を栽培するほだ木の3~4割は福島県産だったほどです。しかし、原発事故の放射能汚染によってそれらの木がことごとく使えなくなってしまい、事故後は、生椎茸のほだ木の供給がひっ迫するという状況も起こったのです。
生椎茸の栽培には、「地元の山を守る」という側面もあります。生椎茸の生産に使うほだ木は2~3年で交換することが多いのですが、ほだ木のための木を地元の山から定期的に刈ることで、森林が手入れされ、野山の環境が維持されていきます。また、生椎茸の栽培に使ったあとのスカスカになったほだ木は舞茸生産の培地に適しており、崩して舞茸の菌床栽培に利用するというサイクルもできていました。ところが原発事故は、そういった地元の人たちが長い年月をかけて築いてきた農業や林業の営みを、一気に壊してしまったのです。ほだ木を刈ることがなくなったために荒れてしまった野山や雑木林が、今、福島県にはたくさんあるのです。
■ 生活クラブ独自の基準で検査を徹底
生活クラブでは、「食べ物による内部被曝はできるかぎり少ないほうがよい」という考えのもと、原発事故の直後から放射能検査体制を作り上げ、まずは国の安全基準を超えたものを確実に出荷停止することを徹底しました。その中で、事故直後には、生椎茸やレンコンの供給中止の事例も生まれました。その後2012年に国の基準値とは別の生活クラブ独自の自主基準値を定め、2016年には自主基準値を大幅に引き下げました。生椎茸の新基準値は、国の基準(一般食品)の100Bq/kgの半分である50Bq/kg、レンコンは青果物の区分で25Bq/ kg。国の基準よりかなり厳しい自主基準で運用しています。
(※1)生活クラブの放射能検査での生椎茸とレンコンの測定値(不検出を除く)。